電池編2 アルミニウムを使った電池の不思議1

皆さんは、不思議に思いませんか?
アルミニウムは亜鉛よりも標準電極電位が小さいのに亜鉛を負極にした方がなぜアルミニウムを負極にしたよりも電圧が大きくなるのかと・・・・・。(アルミニウムや亜鉛よりも標準電極電位が大きいものを正極と考えた時)


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皆さん失礼いたしました。
今回は、このような内容の解決にまでは至らないのですが、ぜひ一緒に考えてみませんか?

1 空気電池

まずは、空気電池の観点から考えていきましょう。
空気亜鉛電池は、知っていますよね。
空気亜鉛電池は、身の回りにあるどこかには使われています。
例えば、一般的な使われ方は補聴器の電池です。
ですが、これはただ一次電池なので亜鉛が溶けていってしまえばいつかは使えなくなります。
空気アルミニウム電池はどうでしょうか?
確かに空気アルミニウム電池は聞いたことがあるから使われているんじゃないかなぁと思っている人もいるかと思います。
ですが、どこをみても空気アルミニウム電池と呼ばれるものは売っていません。
実は、空気亜鉛電池とは異なり実験段階なのです。
だから、街中どこをみてもそれらしきものはあるかもしれませんがそれはないのです。
なぜ、亜鉛はアルミニウムよりも標準電極電位が大きいのに亜鉛を負極としてしか使っていないのでしょうか?
   答えは、使い道が悪いということです。
空気電池は、正極を酸素そして電解液を使っています。
この答えを解く鍵は電解液にあったのです。
実は、アルミニウムは電解液を使うと不動態になりやすい性質をもっています。
不動態の厚みはあまり厚くない(目には見えないくらいの厚み)のですが、これが効率的にいえば悪いのです。そのため、まだ空気アルミニウム電池は売られていないのです。
皆さんは、不思議に思いませんか?
アルミニウムは亜鉛よりも標準電極電位が小さいのに亜鉛を負極にした方がなぜアルミニウムを負極にしたよりも電圧が大きくなるのかと・・・・・。(アルミニウムや亜鉛よりも標準電極電位が大きいものを正極と考えた時)



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2 空気アルミニウム電池に似ているもの
空気アルミニウム電池の存在は、ご存知だと思いますが、今はまだ研究段階です。
市販されるのには、もう少しだけ時間を必要とするでしょう。
欠点を克服することを最優先にしてほしいと思いますが、やはりそう上手く進みません。
欠点を克服するのが、空気アルミニウム電池を実用化する上で一番難しいからです。
そのつまらない話はここまでにしておいて、空気アルミニウム電池に似ているものを紹介したいと思います。
あなたはもしかしたら一度だけ作ったことがあるかもしれません。
       答えは、
      『木炭電池』や『備長炭電池』などです。
 
1 木炭電池
木炭電池は、木炭とアルミニウムそして電解液を用いています。
木炭を正極、アルミニウムを負極としているようにもみえますが、実は違うのです。正確に言うと、『木炭が正極ではなく酸素が正極』なのです。
つまり、木炭は酸素を上手くかつ効率よくするのが役目です。
集電体のような役割を果たしているのです。
一般的な木炭電池の作り方は、『木炭・アルミニウム箔・食塩水で湿らせた布などの柔らかいもの』を使って作ります。
その時、注意することは木炭をできるだけ湿らせないようにすることです。
その理由は、酸素を取り込みにくくなるからです。
作り方を簡単に説明したいと思います。
1 木炭のまわりに食塩水などで湿らせた布などを巻きます。(その時に注意することは、木炭の高さと木炭の周の長さより長くすることです。これをしなければショートして正しい電圧や電流が発生しません。)
2 木炭のまわりに食塩水などで湿らせた布などを巻いた後に、アルミニウム箔をかぶせます。
アルミニウム箔は、電池として使っていると溶けてしまうので厚めが良いです。
 ただし、木炭とアルミニウムが触れたりしないような長さにしましょう。(この作業をもし忘れていたら失敗します。忘れず!!!)
3 木炭の方を正極、アルミニウム箔の方を負極としてワニ口クリップなどでつなげば完成です。
これらの工作過程で木炭を湿らせすぎたりすると上手く完成しないのでご注意下さい。


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2 備長炭電池
備長炭電池は、木炭電池と同じように作りますが、違うことは木炭を使うか備長炭を使うかの違いだけです。
ぜひ、両方とも作ってみてください。

3 アドバイス
あまり電圧や電流が出なくなったら、もう寿命が来たと考えられます。
備長炭電池で寿命が来たと感じられた時は、備長炭を捨てずに火であぶいて再利用しましょう。(備長炭電池として・・・・・・。ただし、これで十分だと思う人(もう備長炭電池を作る予定のない人)は捨てても良いです。
木炭電池でやったことはありませんができると思います。


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3 その他の空気電池
その他の空気電池はどうでしょうか?
実用化されているのはおそらく空気亜鉛電池だけだと思います。
空気マグネシウム電池もアルミニウムより標準電極電位が小さく、負極に向いていますが空気亜鉛電池ほど欠点が解決されていないので今の状態のままです。
つまり、空気亜鉛電池は、今の世の中にある空気電池の中で安全でかつ効率の良いものだと思われます。
最近、空気マグネシウム電池や空気アルミニウム電池の改良をしているところが多くなってもいますがただ実用化なるほどまで至っていないのが現状です。
空気リチウム電池などのような標準電極電位が非常に小さく危険な金属を使おうと試みていますが、有機溶媒を使わなければいけなく安全性が非常に低いため市販されていません。
ですが、これからの進捗に期待を寄せるばかりです。

4 まとめ
空気アルミニウム電池がまだ実用化されていない理由はアルミニウムの性質に関係することだったのです。
今回は、空気電池の視点からみてみました。
次は、それ以外の視点から『アルミニウムは、亜鉛よりも標準電極電位が小さいのになぜ亜鉛の方が負極に適しているか』について考えてみようと思います。



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『電池編2 アルミニウムを使った電池の不思議2』もぜひみてください。